界銀行(World Bank)は2018年におけるカンボジア経済成長率が4月に発表された予想の0.1%増である7%に上るという見通しを示した。これはカンボジアへ集まる投資家の数、また輸出額が増加していることが背景にあるという。

また、他の国際的な財政機関もカンボジア経済成長率に関して世界銀行と数値の近い予想を発表している。例えば、アジア開発銀行(ADB=Asian Development Bank)や国際通貨基金(IMF=International Monetary Fund)も今年のカンボジア経済成長率を7〜7.25%と予測している。
4日に世界銀行が発表した東アジア・太平洋地域に関する報告書によると、外国への輸出や政府による投資額の増加、カンボジアに集まる投資家の増加がカンボジア経済成長率増加の背景にあるとみられている。
報告書では、2018年上半期における衣服類、旅行用品、履物類の輸出額が前年比16.1%増加だと述べられている。2017年末に発表された昨年の輸出額からも8.3%増加しているという。また、織物製品の輸入額増加など衣服製造業における2018年上半期の成長率は37.1%だった。
2018年上半期の観光客数は300万人に達し、これは前年比13.6%増だという。2017年は前年比11.8%であった。観光客数増加は主に中国人の増加が背景にあるという。
また、報告書では、首都プノンペンへの流入は増加傾向にあると述べられている。カンボジアの外交は特に変化はなく、2018年上半期における外交上の負債額は徐々に膨らんでいるが、ほとんどは直接投資(FDI=foreign direct investment)で財政が回っているという。
カンボジアの世界銀行経済専門家であるMiguel Eduardo Sanchez Martin氏は、報道陣に対し、カンボジアは衣服類、旅行用品、履物類の輸出額が大幅に増加しているが、これは2016年にカンボジアと米国との間に結ばれた旅行用品に関する覚書が背景にあり、現在、カンボジアは米国に関税なしで旅行用品を輸出できていると述べた。
同氏は、2018年は外資投資額が大幅に増加し、通貨の流入が相次いだが、海外直接投資は今年でピークを迎えるだろうと予想していると話した。
また、同氏は「カンボジアはドル立て投資が可能であるため、直接投資先として魅力的だ。中国人投資家は不動産部門や製造業において安い人件費と地理的にも距離が近いことが理由でカンボジアに投資を行なっている。この強固な二国間の関係はますます中国人投資家を誘致することとなっている」と語った。
世界銀行は報告書で、2018年上半期における直接投資は前同時期比14.3%増だと公表した。過半数の投資は中国人からで、主に商業部門や不動産部門、製造部門や農業部門においての投資だ。
昨今の不動産ブームで、海岸沿いのシアヌークビル州などの投資が活発に行われている地域では、今年6月だけで1億2600万ドル(約130億円)の直接投資が行われたという。
また、銀行業務システムの売り上げも堅調で、主にUSドルによる個人取引で今年6月だけで22.4%増加した。
ただ、中国経済の成長が突然低速になることで、カンボジアの経済成長に甚大な影響を与えるとみられている。別の視点で見れば、カンボジアの貿易分野における中国への依存を解消すれば中国経済に振り回される心配は必要なくなるという。