ジェトロと商業大臣が会談、日本の投資促進で貿易赤字打開へ

カンボジア商業省は日本の支援を受けカンボジア国内の製品を日本製品の高品質に近づけたい考えを示した。

4日、カンボジアのPan Sorasak商業大臣はジェトロ(Jetro=Japan External Trade Organisation)のミヤオマサヒロ代表と会談した。会談の中で、同大臣は日本にカンボジア国内の地方製品の質を向上させ、将来的には日本に輸出できるように手助けをしてほしいと要請した。

カンボジア王国は日本の投資家と国内中小企業との提携を必要としている。そして、国内製品の品質が向上しイオンモールや海外での販売ができることを望んでいる。商業省は引き続き日本の投資家の活動を促進するために働きかけを行うつもりだ」と述べた。

同大臣の声明に対し、ジェトロのミヤオ氏はカンボジア国内にある中小企業への日本企業による投資促進の約束を表明した。

ジェトロの報告によると、2018年第1四半期におけるカンボジアの日本への輸出額は3億9千万ドル(約430億円)に上る。前年の同期間と比較すると15%輸出額は増加している。一方、日本のカンボジアから輸入額は1.7%減少し、8千700万ドル(約9億円)だった。カンボジアは日本との貿易で赤字となっている。

カンボジア開発評議会(CDC=Council for the Development of Cambodia)の報告によると、2017年、カンボジア国内で計130の銀行、農業、サービス業、インフラ整備に対して日本は投資をおこなっている。投資額は合計16億ドル(176億円)となっている。

日本政府による寄贈バス20台到着、プノンペンで運行へ

プノンペン市役所の発表によると、日本政府から20台のバスがカンボジアに寄贈されたという。今回の寄贈は国際協力機構(JICA=Japanese International Cooperation Agency)の支援のもと行われた。今年寄贈される計80台のバスのうち残り60台は来月到着する予定だ。

プノンペン市役所の広報担当であるMet Meas Pheakdey氏は「日本政府から寄贈されたバスが運行することでプノンペンの交通渋滞が緩和されることを期待している。先週到着したバス20台を先に運用開始する」と述べた。

また、同広報担当は「プノンペン内のバスの本数を増やして交通の利便性を向上させたい。なぜなら地方からプノンペンに仕事を求めて来て滞在する人が増加しているからだ。このままでは通勤時間における交通網の麻痺が懸念される」と語った。

今回は日本政府により80台寄贈されるが、今後2年以内に全部で140台が寄贈されるといわれている。寄贈にかかる費用の総額は約800万ドル(約8億8千万円)と見込まれている。

プノンペンでは2014年に初めて公共交通機関が運行開始した。現在、バスの路線は8本、バスの台数は157台だ。毎日約2万人の市民が利用している。

プノンペン市役所によると、バスは通勤時間にバイクで交通渋滞に巻き込まれるのを避けたい市民が利用する傾向にあるという。

Pheakdey氏は「現在、交通渋滞に巻き込まれることを避けるために交通手段をバイクからバスに切り替える人が増えている。今後、プノンペンだけでなく周辺地域にもバス路線を拡大していく方針だが、まずはプノンペンのバス路線の充実化を図りたい」と述べた。

イオン2正式オープン、付近の不動産投資活発化

20日、イオンモール2号店(Aeon Mall 2)が正式にオープンした。イオンモール2号店はプノンペンSen Sok地区に位置する日本の大規模ショッピングセンターだ。カンボジア王国の経済発展とプノンペン在住外国人数増加に伴い2号店開店への運びとなった。

イオンモール2号店は2014年にSothearos通りにオープンし成功を収めている1号店を模倣した大型小売り販売店だ。

イオンモール2号店はプノンペン北部のPong Peay市に位置している。イオンモール2号店付近の地域はLYPグループが中心となって住居やイベント開催所、商業施設などの建築を計画しており不動産業界に投資が集中することが予想されている。

イオンモールカンボジアの中川代表は「イオンモール2号店付近は不動産会社が参入しており今後新興住宅街へと変貌していくことだろう。土地価格も急騰することが見込まれている。また、イオンモール2号店は交通の便も悪くなく、鉄道に乗車すればプノンペンの中心地から訪れることも容易い」と述べた。

また、同氏は「イオンモール2号店は1号店とは異なる注目すべき点もある。例えばイオンモール2号店には豊かな緑とエンターテイメント施設がある。最上階には誰もが楽しめる公共スペースが用意されており日本から最新技術も導入されている」と続けた。

イオンは韓国の大手自動車メーカー現代自動車(Hyundai)と2016年に合意に達し、イオンモール2号店の建設が決定された。建設費用は合計1億2千万ドル(約130億円)で、広さは15万1千平方メートルだという。

不動産会社CBREカンボジアのAnn Sothida代表は「多くの投資家は今後のカンボジアの経済発展の可能性に目をつけ新たなモール建設に参入してくると期待している。投資家はモールのデザインや小売り販売の売り上げに専念しなくてはならないだろう」と語った。

国道6号線の拡張工事が4年以上の歳月を経て来月竣工へ

7月までに竣工が予定されている国道6号線の拡張工事に関してフン・セン首相がセレモニーに出席した。国道6号線とはシェムリアップ州とコンポンチャム州を結ぶ道路だ。

国道6号線の拡張工事はほぼ完成しており、既に道路を自動車やバイクが通行している。工事は50ヶ月(4年2ヶ月)の期間を経て完成することになる。工事費用は2.5億ドル(約275億円)で、そのほとんどは中国政府による融資だ。

国道6号線はシェムリアップ州、コンポントム州、コンポンチャム州を計200キロメートルの距離にまたがっている。

フン・セン首相は「中国政府の支援のお陰でカンボジア王国は素晴らしい交通網を築くことができた。国民は多大な恩恵を受けることができるだろう」と語った。

Sun Chanthol公共事業運輸大臣は大規模な工事プロジェクトが無事完了したことを強調し「国道6号線は国民が国内を移動するのに大きな助けなるだろう。また、物流コストも大幅に削減できるしカンボジアがASEAN地域の要となるための第一歩となることを期待している」と述べた。

また、同大臣は「国道6号線はカンボジアへの観光客誘致に重要な役割を果たすだろう。中でもコンポントム州やシェムリアップ州、また自然の絶景スポットが多い世界遺産のプレアヴィヒア寺院への観光客の増加を見込むことができる。また、国道6号線付近の住民には来たる観光ブームに乗じた雇用機会の増加が見込める」と続けた。

今回のセレモニーには駐カンボジア中国大使のXiong Bo氏も出席していた。

フン・セン首相は、セレモニーの中で「将来的にはトンレサップ湖(Tonle Sap Lake)に橋を架け、コンポントム州とコンポンチュナン州間の移動を容易にしたいとも考えている。ただ橋の建設により、トンレサップ湖で漁業を営み生計を立てている漁師たちに被害が及ぶのではないかという懸念点もある」と述べた。

トンレサップ湖に建設予定のコンポントム州とコンポンチュナン州間を繋ぐ橋の建設費用は1億ドル(約110億円)以上と推定されている。

キャッシュレス化促進へ、Pi Payとカンボジア政府が提携を発表

カンボジアの企業「Pi Pay(パイ・ペイ)」がカンボジア政府と協力して電子決済サービスを本格的に導入すると発表した。今回の電子決済の導入は「Pi Pay」がカンボジア公共事業運輸と提携して行うという。カンボジアに滞在している人であれば誰もがシステム導入後に電子決済を利用することができるようになるという。

先週、Sun Chanthol公共事業運輸大臣と「Pi Pay」のCEOであるThomas Pokorny氏が会合を開き、今回の導入に至った。今回の本格的な電子決済の導入によって、カンボジア国内のタクシーや水上タクシーなどの移動手段におけるチケットを電子決済で購入できるようになるという。

昨年6月、「Pi Pay」はカンボジアでサービスを開始し、その後すぐにカンボジア国内で最も有名な企業の1つとなった。ピンク色のロゴが特徴的で、既に多くのレストランやカフェ、ショップが「Pi Pay」の電子決済システムを導入している。

Chanthol大臣は「カンボジア政府は常に民間企業との提携を視野に入れている。結果的にカンボジア王国の経済成長に繋がるからだ。電子マネーでの送金は既に他の民間企業、例えば『Wing』や『Ly Hour Veluy』、『Smart Luy』などと提携して導入済みだ」と述べた。

また同大臣は「電子決済を促進するための民間企業との提携はまだキャッシュレス化へ序章に過ぎない。『Pi Pay』との提携もその一環に過ぎない。『Pi Pay』と提携することで、カンボジア王国には多国籍の人々が利用できる電子決済アプリがあると国際社会に認識してもらいたい」と続けた。

一方、「Pi Pay」のCEOであるPokorny氏は「今回の導入により、カンボジア国内で電子決済の利用者が大幅に増加することを期待している。導入する際にかかる費用に関してはカンボジア政府と協力しながら用意を進めていくつもりだ。当然導入の費用はかさむものの、長期的視野で見れば国民の所得は上昇することになるはずだ。政府の協力を歓迎する」と述べた。

「Pi Pay」は昨年の6月にサービスを開始して以降、既に25万人のカンボジア人滞在者にアプリをダウンロードされている。現在、「Pi Pay」は2000以上の会社に電子決済サービスを導入している。システムが導入されている店は主にプノンペンかシェムリアップ州だが、今後シアヌークビル州やバタンバン州にも進出することを計画しているという。

Pokorny氏は「『Pi Pay』は今年の年末までに40万人に利用してもらうことを目標に掲げている。今後、一層多くの人が食品販売所やショッピングモールで「Pi Pay」の看板を目にすることになることを期待している」と語った。

プノンペン、Grabと国連開発計画が渋滞緩和改善へ始動

5日、国際連合開発計画(UNDP=United Nations Development Programme)と配車アプリ「Grab」はプノンペンにおける交通渋滞の緩和へ協力する姿勢を明らかにした。

5日に発表された声明によると、Grabは車のドライバーから運行状況に関する情報を収集し、カンボジア政府とUNDPに情報提供することでプノンぺンの交通渋滞緩和に向けた対策を講じることができるようになるという。また、収集した情報で交通渋滞の緩和だけでなく、道路での安全や空気汚染の問題も改善されるという。

Sun Chanthol公共事業運輸大臣は「Grab提供の情報をもとに、我々はUNDPと協力しながらプノンペンの交通渋滞の緩和対策に乗り出す」と述べた。

今回のプロジェクトは「Sustainable Urban Mobility for All Initiatives(Sumai)」と呼ばれる。プロジェクトは3年の期間をかけて実施され、費用は総額50万ドル(約5500万円)に上る見込みだ。

Grabが提供する情報は主に交通状況に関する情報や空気汚染度を表す指標で、今後のプノンペンにおけるインフラ整備や輸送手段に関する投資決定のための判断材料となると期待されている。

Grab東南アジア担当のRussell Cohen氏は「Grabが交通状況改善に向けカンボジア国内で官民一体となって交通状況を改善するのは初めてだ。UNDPとの協力はGrabの東南アジアをより暮らしやすい街にするという目標とも合致するものだ。Grabは共同出資以外に、環境にやさしい乗り物を使用することだけではなく、交通状況の情報提供や技術指導、労働力の提供をすることでプノンペンの交通状況の改善に協力できると考えている」と語った。

UNDPのカンボジア担当者のNick Beresford氏は「急速な都市化政策は生活水準の向上が実現する一方で、深刻な交通渋滞にもつながる。今回、新たに官民一体で効果的に交通状況の改善を図ることで、プノンペンの都市化に向けた投資を増やすこともできるだろう」と述べた。

また、Chanthol公共事業運輸大臣は「プノンペンでこのプロジェクトの成果が表れれば、他の都市、例えばシェムリアップ州やシアヌークビル州などの他の地域にも同じシステムを導入できるだろう」と続けた。

JICAの支援でプノンペンで地下鉄計画、2年以内に着工へ

5日、カンボジア政府はプノンペン国際空港とプノンペン市内とを結ぶ交通機関AGT(Automated Gateway Transit )の運行プロジェクトが準備段階にあることを明かした。AGTとは電力で動く乗り物だ。これまで何度もプロジェクトの中断されてきたが、今回は正式に着工するとみられている。

5日、Sun Chanthol公共事業運輸大臣は報道陣に対して「AGTプロジェクトは2年以内に日本のJICA(Japan International Cooperation Agency)と協力して開始される予定だ。JICAはどのプロジェクトにおいても事前調査を徹底する方針で、調査は来年末までに完了すると見込まれている」と話した。

AGTは時速60キロで走行する。有害な煙を排出することもなく、環境への配慮もなされている。また、AGTは地下で運行されるため、車庫も地下に建設される。そのため、地上で保管場所を確保する必要もないのだ。

同大臣は「AGTの建設により、移動手段の選択肢が増えることで、道路渋滞が緩和されることが期待されている。また、日本政府はこの事業への8億ドル(約880億円)の支援から撤退するとの話も耳にするが、それは事実無根のうわさだ。日本政府による支援はすでに決定されている。ただ、支援金が貸付金と給付金のどちらなのかはまだ決まっていない。今後日本政府の意向を確かめるために話し合う必要がある。ただ我々は日本から良い回答が得られることを固く信じている」と述べた。

AGTはプノンペンのセントラルマーケットからプノンペン国際空港までの18キロを運行する予定だ。現在、正確な運行ルートを話し合っているが、既に決定しているのは4キロは地下鉄として運行し、プノンペン国際空港まで向かうことだ。また、AGTの建設工事で国民や企業に莫大な損害を与えないように注意を払うつもりだという。

また、同大臣は「注目してほしいのは乗車運賃が非常に低価格で、国民の誰もが気軽に利用できるという点だ。また、現在、中国企業と協力してスカイトレイン(sky train)の運行を検討しているが、今回のAGTプロジェクトの運行ルートに鑑みてプロジェクトの詳細を話し合っていきたい」と続けた。

エクスチェンジスクエアが正式にオープン、有数の複合施設へ

24日、エクスチェンジスクエア(Exchange Square)が正式にオープンした。エクスチェンジスクエアとはプノンペンの中心地に位置する複合施設で、香港を拠点とする大手不動産会社のホンコンランド社(Hongkong Land)によって建設された。

エクスチェンジスクエアは26階建てで、117メートルの高さを誇る。この商業複合施設はショッピングモール兼オフィスタワーで、世界のどの機関にとっても身近な存在、例を挙げると世界銀行やユニセフのような役割を果たせることを願っている。

ホンコンランド社の最高経営責任者(CEO)のRobert Wong氏は「エクスチェンジスクエアがプノンペンで経済を発展させ、ますます投資を集めることになると期待している。ホンコンランド社はアジア国内に多く複合施設を所有しており、多大な成功を収めている。今回プノンペンにエクスチェンジスクエアを建設したのは、プノンペンの不動産市場に魅力を感じているからだ」と話した。

また、同氏は「エクスチェンジスクエアは商業的にも、またビジネスチャンスを求めている人々にも魅力的な施設となるだろう。エクスチェンジスクエアは世界標準の不動産であり、これがプノンペンに劇的な変化をもたらすことを切に願っている」と続けた。

カンボジア国土整備省のPen Sophal秘書官は「エクスチェンジスクエアのような施設があることはプノンペン不動産業界の信頼に繋がる。また、カンボジア政府が国民の生活を意識した方針を立てていることを表すことにもなるだろう」と語った。

同氏は「エクスチェンジスクエアは不動産業界の発展を象徴するだけでなく、もっと重要なことを示唆している。それはプノンペンにおけるイノベーション、安全性、文化的な発展、環境保護、美しさだ」と続けた。

国土整備省が発表したデータによれば、カンボジアにおける不動産業界の市場規模は、2016年から2017年に22%増加し、68億ドル(約7400億円)に到達したという。

日本政府、バス140台を寄贈、渋滞緩和に期待

日本政府はカンボジアに新車の中型バス140台を寄贈することを発表した。

プノンペン市役所の発表によれば、来月6月に日本から80台のバスがプノンペンに到着し、残り60台は二年以内にカンボジアに到着する予定だという。

バスの寄贈は日本とタイを拠点とするCherdChai社と日本の自動車メーカーISUZU(いすゞ自動車株式会社)の協力によって実現することができた。

プノンペン市役所の広報担当のMet Measpheakdey氏は「来月6月にバスが到着次第、すぐに運行できるように準備を進めていくつもりだ。現在、バスの運転手の募集をかけている最中だ」と話している。

同氏は「今回の日本からのバスの寄贈で、プノンペンの交通渋滞が緩和され、また貧困層の暮らしが便利になることを願っている。バスの導入で交通渋滞がさらに深刻化するという懸念の声も上がっているが、実際そんなことはない。バスに50人が乗車すれば、現在道路を走るバイクや車がその分減ることになり、バスの導入は交通渋滞の緩和に効果的だといえる」と続けた。

さらに、同氏は「バスの運賃は1回の乗車でわずか1550リエル(約40円)と非常に低価格だ。そのため、バスの導入により貧困層の移動手段も確保されることになる。また、学生や障害を持った人は無料で乗車でき、誰もが使いやすい交通手段になりうるだろう」と続けた。

プノンペンでは既に150台のバスが運行している。路線数は10本に上る。また、昨年には中国からも100台のバスが寄贈されている。

中国からバスが寄贈された当時、フン・セン首相は「2018年の2019年間は、工場で働く労働者はバスの運賃が無料になる」と発言している。